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「極刑」 :: 2018/08/28(Tue)

死刑制度について真剣に考えることをしてこなかった。冤罪で無実の人が「死刑」の判決を受けて国家に殺されてしまうのはおかしい。だから死刑制度は善くない。という程度の考えで死刑制度はなくした方がいいと思っていた。賛成か反対かと訊かれて「絶対反対」と強く答えられるような知識もない。

7月6日にオウム事件で死刑判決を受けていた受刑者13人のうち7人が同日に処刑された。突然な感じがした。死刑執行を言い渡した法務大臣がその前夜に「自民党赤坂亭」での宴会に参加していたと知って、この国を治める者たちの死刑に真摯に向きあっていない無知と無恥が浮き彫りにされた気がした。死刑制度のことを考えてモヤモヤするものが気持ちの中に生れたのはその時からだ。



しばらくして、まちづくり広場の本棚で「極刑」という本を見つけた。このタイミングの良さ。著者は「推定無罪」の作者であり法律家のスコット・トゥローだ。

時間をかけて行ったり来たりしながら読み進めた。目を覆いたくなるような事件の詳細を読むと気が重くなって読むのを中断したりもした。犯人を特定し事件の解決に臨む人間の(この場合警察や目撃者など)無責任な思い込みで、何もやっていない人に罪を被せることがいとも簡単にできてしまう流れに唖然とする。

イリノイ州のジョージ・ライアン州知事は死刑執行を一時停止することを宣言し、2001年、死刑に関する諮問委員会を招集した。国家的な死刑制度の再評価が始まり議論が盛んになってきている中で、最初に行動したのがライアン知事であるとトゥローは云う。

14人で構成される諮問委員会には、民主党、共和党の重鎮、3人の女性、4人のマイノリティーの代表がいた。連邦地方裁判所の元首席裁判官、現職州検事、公認弁護人、弁護士が居て、14人中11人は検察官を長年務め、9人は刑事事件で弁護をした経験がある。ジャーナリストとしての教育を受け、合衆国上院議員として法案の作成に関わった人物もいる・・・という多様なバックグラウンドや経験を持つ者を集めた厚みのある諮問委員会だった。その中にスコット・トゥローもいた。

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諮問委員として2年間に渡り、調査、聞き取り、研究、討議に加わり、死刑制度の問題点に対する自身のアプローチの仕方が間違っていたのではないかと自問する。ジョン・ゲイシーやヘンリー・ブリスボンのような「矯正不可能な猟奇殺人者を除去するために未だ死刑に惹かれる気持ちがあることを認め」ながらも、「・・・無実の者や死刑に値しない者に刑を科してしまうことなく、非常にまれな死刑にふさわしいケースを適正に扱う司法制度を構築することが可能であろうか。」と考える。最終諮問委員会で、「死刑制度を維持すべきと考えるか」との問いに「否」と投票したトゥローのその考えは今も変わっていない。


読後もモヤモヤは消えていない。


「極刑」でも触れているが、愛する者を殺された遺族の気持ちを考えれば死刑制度は必要だという意見は多い。それは「遺族の気持ち」と言いながら第三者の「報復の衝動」を満足させることでもあると言っている。加害者は誕生日やクリスマスを迎えることができる。面会用のパネル越しに母親に「愛してる」と言い、母親も同じ言葉を繰り返すことが出来るのは耐え難いことだと多くの遺族は感じている。「犯人は被害者よりも幸せにその人生を終えるべきではないという思い。」

だからと言ってすべての遺族が、死刑制度に賛成の立場をとっている訳ではない。犯人が死刑になったからと言って気持ちが楽になる訳でもなく、遺族にとっては意味のない制度だという家族もいる。それぞれに多様な感情や意見があることも踏まえておきたい。


「無実の人に死刑を科す可能性のある死刑制度は廃止すべきだ」と言うだけでは何か落ち着かない。アムネスティジャパンの死刑制度に反対する「なぜ、アムネスティは死刑に反対するのか?」という声明がある。トゥローがイリノイ州の諮問委員会で死刑制度に関する報告書を出すために調査や研究を基に出した結論と重なる部分もあるし、それ以上に深い根拠を提示しているような気もする。そうか、こう考えればいいのか・・・というようなヒントだ。


【 アムネスティジャパンのページより 】
2011年7月22日に、たった一人の人間の手で66人の命を奪われるという悲劇におそわれたノルウェー。事件当時の法務大臣クヌート・ストールベルゲさんのお話をきく機会がありました。

国民に死刑をのぞむ声はなかったのか?との質問に対し、クヌートさんは答えています。「憎しみをもつ人はいたと思います。しかし、死刑をのぞむ声を公の場で聞いたことはありません。それは、彼を我々と同じ人間だが、違う考え方をしているのだととらえていることがあると思います」。

また、その寛容さは宗教によるものでしょうか?との質問には、「このような寛容の背景には、宗教ではなく、福祉制度と更生への努力が、犯罪をおさえるという理解があるのだと思います。また、首相の『暴力に暴力で対応してはいけない』というメッセージも国民に影響を与えたと思います。遺族も私たちも、死刑以外の『効果のある懲罰』をのぞんでいるのです。それは、これ以上犯罪による犠牲者を生まないこと、そのような犯罪を減らしていくことなのです」。



犯罪者として生まれてくる人間はいない、と考えれば、犯罪を減らす、無くすことは可能かも知れない。生れ育った環境、受けた教育、出会った人々、かけられた言葉、社会・・・・。手がかりはたくさんある。



icon九条守れ

さいたま市の女性の句。
教育委員会は公民館報への掲載を拒否しています。


その他にも「9条」取り扱い拒否が様々な形で広がっています。

「九条俳句」市民応援団ができました。


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comment

ミステリーじゃないんですね、
読みます!
  1. 2018/08/29(Wed) 09:41:38 |
  2. URL |
  3. 佐平次 #-
  4. [ 編集 ]

∮佐平次さん
イリノイ州の死刑制度を見直す諮問委員会に加わった経緯や色々な角度から死刑制度を捉える彼の考えが読みやすくまとめられています。
お勧めできますよ。
ミステリーではありません。
  1. 2018/08/29(Wed) 14:51:01 |
  2. URL |
  3. テイク25 #NNZ72WTo
  4. [ 編集 ]

ミステリーじゃないんですね、
読みます!
  1. 2018/08/29(Wed) 21:47:44 |
  2. URL |
  3. 佐平次 #-
  4. [ 編集 ]

∮佐平次さん
諮問委員の話がある前から書き始めていた小説はしばし封印して、全てが終わってから出版したとかしなかったとか、最後に書いてあったような気がします。
それはそれで楽しみですね。
  1. 2018/08/29(Wed) 22:58:06 |
  2. URL |
  3. テイク25 #NNZ72WTo
  4. [ 編集 ]

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