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「オキナワへいこう」 :: 2018/11/22(Thu)

那須フロンティアというNPO団体があることを初めて知った。そこの20周年記念事業として「大西暢夫写真展と映画上映と語りの会」が10月14日に二箇所で、11月21日に二箇所、11月23日には一箇所で開催された(る)。会場は那須塩原市、那須町、那珂川町の三市町にあるカフェだったりギャラリーだったり美術館だったり・・・。1825は那須まちづくり広場の映像室で開かれた定員40名という、「オキナワへいこう」の小さな上映会に参加した。


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舞台は大阪堺市にある精神科病院。900病床(一時期は1200病床もあった)大きな病院の開放病棟と言われる所。完治間近の患者やもう退院してもいいよと言われている患者が暮らしている病棟だ。

もう40年も入院している益田さんが誕生会で「沖縄に行きたい」と希望を語った。看護師たちがその夢を実現させようと旅をしても大丈夫な状態の3人の入院患者にも声をかけて、準備を進める。沖縄の宜野湾市の福祉施設で開かれている大西暢夫写真展をそのモデルになった自分たちが見るという目的の三泊四日の旅行に胸を躍らせる男性3人組。気分が高揚してウキウキしている人。まぁ行ってみるかと斜に構えながらも嬉しそうな人。何十年も前のまだパスポートが必要でドルの時代だった頃に12日間くらい行ったことがあるよと思い出を話す人。急遽行くことになった山中さんは、コップを入れた?沖縄の人は雨が降っても傘をささないみたいだよとか看護師たちにおせっかいを焼かれながら荷造りを進めている。

沖縄行きが近づいてきた頃、言い出しっぺの益田さんが私は行かないと言い始めた。社会に出て生活が出来るようになるための一つのきっかけになる筈だと考えている看護師たちは説得を試みるけれど、益田さんは行かない行きたくないと言うばかりで涙を流す。

(どうしてあんなに嫌がった益田さんが行けたのかと上映後監督に質問したら、大阪のおばちゃんたちはすごいんですとの回答。おばちゃんとは看護師さんたちのこと。無理強いせずにそれでも粘り強く行く気にさせるその手腕に監督も感心したようだ。確かに画面のあちらこちらに表れている看護師さんたちの明るさ、真面目さ、面白さ、粘り強さは経験による自信から生れてきていることがわかる。)

とにもかくにもオキナワヘいった。けれどあの3人組は主治医の許可が下りずに行くことができなかった。3人とも主治医は同じで、医師としては何かあったらどうする?というのが主眼なのだ。看護師5人の付添いで行けたのは益田さんと山中さんの二人だけ。沖縄の海を見てソーキそばを食べて、晴れやかに活き活きとした顔をしている益田さんと山中さんと看護師たちの写真が素敵だ。

大西監督が予想もしていなかったことが沖縄から帰って来た後に起こる。山中さんにはるみちゃんという彼女が出来たのだ。沖縄旅行とはるみちゃんの存在が薬以上に効果を発揮して、退院なんかしない一生ここにいるんだと言っていた山中さんの背中を押して社会に送り出した。


大西暢夫監督は18年間全国の精神科病院を撮影し続けてきた。医師との闘いだったと言う。患者を撮影して顔が出ることを許さない家族や親族、医師が多い。構わないよと言う患者本人の気持ちは受け入れられない。18年経っても現場は変わっていない。社会との接点を持たずに長期間入院していると行き場がなくなり、社会に出る機会を受け入れることができなくなる。そして、退院できないまま老いる。様々な矛盾を感じている。大きな葛藤もある。けれども撮影中は楽しくて患者さんたちと一緒に居るととても気が楽になると言う。

映画を観るだけでなく、それを撮影した監督の話を聞いたり質問をしたりすることができる上映会はとても貴重な機会。出来上がったばかりだというこの映画が各地でたくさんの人に観て貰えればいいと思う。未だに根強く残る偏見や差別、なかなか整わない地域社会の受け入れ態勢、患者たちが社会に出る気を無くしてしまう長期入院など多くの問題があることも大西監督の指摘で知った。暗い映画にはしたくなかったので面白く精神科病院を紹介したという大西暢夫監督は優しい目をした人だった。

「ひとりひとりに向き合って 写真家・大西暢夫が撮る精神科病棟」(ハートネットTV)




icon九条守れ

さいたま市の女性の句。
教育委員会は公民館報への掲載を拒否しています。


その他にも「9条」取り扱い拒否が様々な形で広がっています。

「九条俳句」市民応援団ができました。






数年前、知人に教えてもらって栃木県と茨城県の県境にある(住所は茨城県)袋田病院のアートフェスタに行ったことがある。精神科病院で患者さんたちとスタッフが計画・用意して地域の人々や家族や友人たちを招くお祭りだ。

織物や革細工、植物などが展示されている各部屋でそれらを作った患者さんと話したり作品を手に取ったり、気に入った品は購入する・・・そんな和やかなお祭りだった。開かれたのは外来・開放病棟で、少し離れた隣の敷地には昔閉鎖病棟として使われていた建物がある。その病棟を公開して誰でも中に入って、見学できるようにしてあった。

精神病患者が日々綴ったメモや絵、トイレの壁に延々と描かれている蟻の行列、狭い病室に閉じ込められた患者はどの様な気持ちになるのかを体感する為に芸術家が1週間だか1ヶ月だか閉じ篭って(閉じ込められた状態にして)描いた絵がその狭い病室に展示されていた。

その時に受け取ったパンフレットの院長のメッセージが強く心に残り、切り取って手元に置いてある。

(「博士論文を書き終わった頃、頼まれて軽い気持ちで引き受けた精神科病棟での非常勤医の経験が、自分の人生を決めてしまうほどの大きな衝撃だった」との導入に続くメッセージからの抜粋。)

「精神科医療の名の下に、現実には多くの欺瞞や矛盾、人権侵害が存在し、患者さんには怒りや悲しみや諦めの感情が溢れていました。多くの患者さんは家族からも地域社会からも「すでに存在していない者」であるかのように、面会や外出も許可されずに劣悪な環境の中で「存在」していました。(ただしそのような過酷な環境の中でも、心を痛めながら自分たちが出来る事を模索していた心温かな医療従事者がいたことは彼らの名誉のためにも断っておかなければなりません。)」

「ただこの問題の難しさは、単に精神科病院の在り方ではなく、行政やら医師を派遣する大学病院の都合やら、ご家族の苦悩や拒否、さらに言うならば社会防衛的な側面等様々な思惑や利害が複雑に絡み合っていることです。」

相模原市で痛ましい事件が起こると、「この事件の本質がどこにあるかは別にしても・・・ネット上では「なんでこんな危険な奴を退院させたのだ」「キチガイは一生病院から出すな」の意見が溢れましたが、それまでイタリアの精神科病院廃止運動を称賛してきたイデオローグたちはこの状態に沈黙したままです。私たちは、このような近代が生んだ社会装置としての精神科病院をめぐる様々な言説の狭間にあって、多くの制約の下に、欺瞞と矛盾と葛藤を内包しつつ、揺れ動きながら仕事をしています。」



「オキナワへいこう」の大西暢夫監督の話と、改めて読み返したこのメッセージは、人権、弱い者をはじき出す社会、どうやったら共生できるかなど、考えさせられる多くの点が重なっている。



wreath
  1. 映画
  2. | trackback:0
  3. | comment:4
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comment

是非みたいです。
精神病院を舞台にした映画、数年前にみました。
それもよかった、でも忘れています。
  1. 2018/11/23(Fri) 09:39:54 |
  2. URL |
  3. 佐平次 #-
  4. [ 編集 ]

∮佐平次さん
ご覧になった映画は何というタイトルなのでしょう。

この映画は上映活動が始まったばかりの新しい映画のようです。
一般映画館で上映されるかどうかわかりませんが、ポレポレ辺りで上映してくれるとうれしいですね。

草の根で広げていくのもいいのでは・・・。

・・・《facebookより》・・・
映画『オキナワへいこう』の自主上映会希望の方へ】
少しずつ上映活動を開始していますが、まさにこれから「自主上映したいです!」という団体・個人の方々は、まずは以下,メールに問い合わせください。

NPO法人kokoima(ココイマ)
メール:omedetai191@gmail.com
電話:072-220-5458
※メールでの問い合わせ先を変更しました。
※水〜日の10時〜17時のみ受け付け対応します。
  1. 2018/11/23(Fri) 13:23:30 |
  2. URL |
  3. テイク25 #NNZ72WTo
  4. [ 編集 ]

きのう、横浜で見てきました。
教えてくださってありがとう。
映画も面白かったけれど、集まった人たちの真剣な質問、泣いていた若者もいました、に感動しました。
  1. 2019/02/18(Mon) 10:07:02 |
  2. URL |
  3. 佐平次 #-
  4. [ 編集 ]

∮佐平次さん
上映会に足を運んでいただけて嬉しいです。お知らせした甲斐がありました。
自分で体験した方も来られていて、お話が聞けたのも良かったですね。
あまり知られていないこのような実情を多くの人に知っていただきたいと思います。
  1. 2019/02/18(Mon) 22:44:00 |
  2. URL |
  3. テイク25 #NNZ72WTo
  4. [ 編集 ]

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