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「ひとりの午後に」 :: 2019/01/05(Sat)

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NHK出版の「おしゃれ工房」に連載されたエッセイをまとめた文庫版。思いだすこと、好きなもの、年齢を重ねて、ひとりのいま、の4章に分けられた中にはこれぞ上野節と思うものもあれば、へぇ~こう云う面もあるのかという上野節もあった。あとがきで「『考えたことは売りますが、感じたことは売りません』とこれまで言ってきたけれど、禁を犯して感じたことを語り過ぎたかも知れない」と書いている様に、上野千鶴子の意外な一面も知ることが出来る。

第4章では齢のとり方を語る。「エイジズム」という言葉があるのだそうだ。高齢者差別。フェミニストのバーバラ・マクドナルドの「年老いた女性に、あなたは他の年寄りと違って元気だし生き生きしていると言うことが褒め言葉だと思ってはいけません。それは年老いた女性を拒否することに手を貸していることになる・・・。」という言葉を上野さんは紹介している。
「・・・・わたしは『過去の人』ではなくこうして日々生きている、ただ高齢なだけの女。高齢者は過去の抜け殻ではない。それどころか、だれも経験したことのない、年齢という日々にあたらしい現実を探検している最中だ。」 「若い人は、私がどんな風に生きて来たかにしか興味を示さない。そうではなく、私が日々何を感じ、何をして生きているかを訊ねて欲しい。」(バーバラ・マクドナルド) 同感。過去からずっと繋がっている時間を過ごして今の自分がある。上野さんも言うように、失敗もあり悔やむこともあり恥ずかしいこともたくさんしてきたけれど、その上での今だ。

最後のエッセイ「ひとり」では、「老後は金持ちより人持ち」と自分で書きながら内心忸怩たる思いがあると告白する。自身は「『人持ち』で共に過ごしてくれるだれかれに今のところ事欠かないが、なにも人持ちでなくてもいいではないかと反発する気持ちもある。読者にとっては大きなお世話だろう。」「『人持ち』ということが脅迫の様に取られては困る」と。要するにひとりでいるのが心地よければ一人でいるのが良い。とかく人は群れたがるものだが、それがいいのかどうか・・・。

彼女の本は何冊か読んでいる。昨年は講演も聴いた。品のある空気を漂わせサバサバと快活であるところが好き。時々話を聞きたくなる社会学者だ。【文春文庫 2013年】


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