Joy Luck Club

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「プリズン・ブック・クラブ コリンズ・ベイ刑務所読書会の一年」 :: 2017/02/11(Sat)



「プリズン・ブック・クラブ コリンズ・ベイ刑務所読書会の一年」
アン・ウォームズリー 著 向井和美 訳   (紀伊国屋書店)
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カナダのトロントに住むジャーナリストの著者が友人・キャロルに依頼されて一年間だけボランティアとして手助けをした刑務所での読書会の記録。刑務所という事情もあってプライバシーを保護する必要から、キャロルとアン以外は仮名を使っている。


著者のアン・ウォームズリ―には、夫の赴任先ロンドンで生活していた時、強盗に襲われるという経験がある。大きな男に首を絞められたので声がしばらくでなくなり、もちろん、PTSD(心的外傷後ストレス障害)から脱するのに長い時間がかかった。だから、キャロルから手伝ってもらえないかと依頼された時には迷った。が、「事情は事情として、どう、手伝ってもらえないかしら。」との言葉に、読書好きなジャーナリストとして刑務所での読書会に興味が湧き、引き受けた。

『読みかけの本を残して出所してはいけない。戻って続きを読みたくなるからだ。』 (刑務所の言い伝え)

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読書会は月に一度開かれる。アンがリストを作りキャロルが候補となった本を手配する。参加者全員に同じ本を渡し、次の読書会で話し合うという形だ。「体じゅうにタトゥーのある男たちが18人ほど集まって読書会を開く場所は本館ではなく」、看守もいない、防犯カメラらもない別棟だった。恐怖心の為、初回の読書会のことをアンはほとんど覚えていない。

「恐怖心は偏見から生まれる。社会に存在するひどい不公平の根源には、こうした恐怖心があるものだ。もし受刑者たちがみずからの善をたずさえて読書会に参加し、たとえひとときにせよ、その時間だけは別の人生を生きようとしているのなら、キャロルにならってわたしも彼らの努力に敬意を表すべきだろう。」

こうして始まったアンにとっての刑務所読書会は、次第に彼女の受刑者を見る目を変えていく。キャロルが参加できない時には不安を抱えながら一人で出かけることもあった。何ヶ月か後には軽警備施設のビーバークリーク刑務所での読書会にも関わることになった。コリンズ・ベイ刑務所の読書会でリーダー的な存在だったグレアムとフランクがビーバークリークに移ったのを機会に、ここでも読書会を開いてはどうかとキャロルが彼らに提案したのだ。久しぶりに会ったグレアムとフランクは、刑務所では規則違反なのだがアンに手を回してきた。「わたしににとって人生初の、受刑者とのハグだ。」

1年の間、二つの刑務所での読書会に参加したアンは、メンバーのすべてという訳ではないけれど次第に友人のような関係が築かれていくのを感じる。軽警備施設から更正施設に移り、社会に戻るために、どこかで監視している警察官の目を感じながらも、少しずつ自立した生活を営む訓練を続ける何人かの受刑者たち。その過程では職業に就くために大学で勉強する者もいる。家族とやり直すために手に職をつける者もいる。キャロルはもちろん、アンも二つの読書会で仲間だった受刑者たちのその後を案じ、時々会って本の話などをする。キャロルは云う。更生させるために読書会を開くのじゃない。本を好きになってもらいたいの。


読書会で受刑者が出し合う感想や意見、深い考察は、熟読した結果だ。アンも時々、「そうか!」と自分の読後感との違いに驚き納得したりする。その体験をまとめて出来上がった本が『プリズン・ブック・クラブ ~ コリンズ・ベイ刑務所読書会の一年』だ。たくさんの様々なジャンルの本を読んだ。受刑者たちはありきたりの薄っぺらい内容を求めていない。「その場しのぎの、ただ面白いだけの小説にはもう興味がない。著者がなにを考えてるか、どんな語り口で表現してるかを知りたいんだ。」シドニィー・シャルダンなどのふつうじゃない人間の話じゃなくて、現実的な人生の話がいいんだ。

面白い本だった。取り上げられた本の数が多い。どれも読みたくなるような、そして、受刑者たちと一緒に読書会に参加しているような気分にさせてくれる作品だ。

訳者のあとがきの中で「プリズン・ブック・クラブ」のホームページが紹介されていた。わ~~ぉ。プリズン・ブック・クラブがより具体的にイメージできる。右上の「三」みたいなアイコンをクリックするとメニューが現れるので色々見るとさらに具体的なイメージが・・・。


2月8日読了

スキャンした時にはくっきりしてるのに、取り込むと何度やってもこのようなピンボケになってしまう。
何故?こんなこと初めてだ。

表紙の雰囲気って大事だと思うから、ボケていても載せてしまおう。


february08.jpg



〈主な登場人物〉 (仮名)

・ドレッド=ジャマイカ出身。薬物がらみの事件で服役中。カナダを代表する作家マーガレット・アトウッドを愛読

・ベン=カナダ生まれ。ジャマイカ育ち。故殺により4年の刑。『スモールアイランド』をおもしろく読んだという

・フランク=イタリア出身。発砲事件により10年の刑。好きな本は『またの名をグレイス』

・グレアム=『ヘルズ・エンジェルス』元メンバー。薬物売買と恐喝により17年の刑。好きな本は『サラエボのチェリスト』

・ガストン=連続銀行強盗により6年の刑。好きな本は『ガーンジー島の読書会』

・ピーター=コンビニ強盗により4年の刑。好きな本は「怒りの葡萄』と『二都物語』

・マイケル=トロントの南アジア人居住地出身。麻薬密売により服役中





icon九条守れ

さいたま市の女性の句。
教育委員会は公民館報への掲載を拒否しています。


その他にも「9条」取り扱い拒否が様々な形で広がっています。

「九条俳句」市民応援団ができました。





プリズン・ブック・クラブのメンバー紹介ヴィデオ






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  2. | comment:6
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図書館にあるかな、読んでみたい。
  1. 2017/02/12(Sun) 10:37:04 |
  2. URL |
  3. 佐平次 #-
  4. [ 編集 ]

∮佐平次さん
きっと在ります。那須町にあったんですから。
「梟通信」をお返事を待たずにリンクしてしまいました。駄目な場合はお知らせくださいね。
  1. 2017/02/12(Sun) 11:03:18 |
  2. URL |
  3. テイク25 #NNZ72WTo
  4. [ 編集 ]

テイクさんは、どうやってこの本を知ったのですか?
図書館で興味を感じるタイトルとしてでしょうか。
『ジェーン・オースティンの読書会』という映画を観た時に
同じ本を読んで感想を語り合うという世界を知りました。
私も読んでみたくなりました。
次回、図書館に行ったら早速探してみます。
  1. 2017/02/12(Sun) 18:45:24 |
  2. URL |
  3. のりきち #3cXgguLU
  4. [ 編集 ]

∮のりきちさん
新聞に週一で掲載される書評ページで知りました。そんなに大きくは取り上げられてはいませんでしたが、とても興味をそそられたのです。新刊だし、那須町図書館にはないだろうから他から取り寄せてもらおうとリクエストをしたら、この図書館にもある筈と、司書さんが見つけてくれました。
読書会って興味がありますよね。是非読んでみて下さい。
  1. 2017/02/13(Mon) 15:05:31 |
  2. URL |
  3. テイク25 #NNZ72WTo
  4. [ 編集 ]

面白かったです。夢中になって読みました。
ありがとう。
  1. 2017/04/11(Tue) 09:48:46 |
  2. URL |
  3. 佐平次 #-
  4. [ 編集 ]

∮佐平次さん
私も仲間に入れてよ、と云う気持になりますね。読んで良かったと思う本でした。佐平次さんにも気に入っていただき嬉しいです。
  1. 2017/04/11(Tue) 20:05:07 |
  2. URL |
  3. テイク25 #NNZ72WTo
  4. [ 編集 ]

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